No.50 村井まや子・熊谷謙介(編著)『動物×ジェンダー マルチスピーシーズ物語の森へ』青弓社、2024年
- 序文 マルチスピーシーズ物語の森のマッピング 村井まや子/熊谷謙介
第1部 記された<動物>と<性>
第1章 共苦による連帯とその失敗――大江健三郎「泳ぐ男」における性差と動物表象の関係を手がかりに 菊間晴子
- 大江作品にみられる動物表象
- 想像力の挫折の物語としての「泳ぐ男」
- 女性の犠牲者に対するまなざし
- 動物としての男性
- 非‐動物としての女性
- 共苦から生まれる動物との連帯
- 共苦する想像力、その限界と暴力性
- 「わからなさ」の先の共同性
第2章 多和田葉子の動物演劇の試み――『夜ヒカル鶴の仮面』から『動物たちのバベル』へ 小松原由理
- 両テクストにおける動物の役割
- 言葉遊びから始まる――人間と動物の「重なり」
- 「穴アキ演劇」として?――動物演劇のアンガージュマン
第3章 皮膚感覚的快楽の果てをめざして――松浦理英子『犬身』論
熊谷謙介
- 熱い触れ合い――『犬身』前後
- 人間―犬―狼の異種間コミュニケーション
- スキンシップと性的快楽のあわい
第4章 マルチスピーシーズ・フェアリーテール研究序説 村井まや子
- ATUインデックスと人間中心的バイアス
- 「マルチスピーシーズ・フェアリーテール」の分類法
- マルチスピーシーズ・フェアリーテール・ライブラリー
第2部 多様な種の文化表象へ
第5章 銃を持つダイアナ――二十世紀転換期アメリカにおける狩猟とジェンダーをめぐる言説 信岡朝子
- 狩猟する女性の「発見」
- アメリカの祖先としてのハンター
- 文明的な狩猟の創造
- 安全装置としての女性ハンター
- 象を撃つダイアナ――デリア・エイクリーの狩猟記
- 男性らしい(manly)白人女性の自意識
第6章 オーストラリア児童文学におけるアボリジナル文化――精霊の表象を手がかりに 鈴木宏枝
- パトリシア・ライトソンの試み
- スー・マクファーソン――共生と抱擁
第7章 モクモク村のQちゃん――「野性」と「男性性」のクィア・リーディング 菅沼勝彦
- 『モクモク村のけんちゃん』
- セジウィックと「クィア・パフォーマティヴィティ」
- けんちゃんと魔王の男性性
- モクモク村のQちゃん
- 「クィア・パフォーマティヴィティ」と「フェロックス」の実践
第8章 ワクチンとしての物語――章夢奇のドキュメンタリー作品における女性の語りを手がかりに 秋山珠子
- 幼女たち
- 少女たち
- 老女たち
No.49 吉澤 達也(Tatsuya Yoshizawa)(編著)『A Sense of Plausibility in Vision and Music Perception』朝倉書店、2023年
Part I Plausibility in Visual Perception
- Visual Plausibility of Objects and Mechanisms of a Sense of Plausibility -Tatsuya Yoshizawa
- Camouflage, and Its Relationship with Plausibility -Nicholas E. Scott-Samuel
- Is Chromatic Motion System Lateralized?
—On the Issue of Lateralization of Visual Function— -Haruyuki Kojima - An Implausible Impression of Stereogram Could Be Due to Perceptual Enhancement of Luminance Modulation -Goro Maehara
- Urban Design and Visual Plausibility
—When Vision Leads the Body Astray— -Ute Leonards
Part II Plausibility in Music Perception and Speech Perception
- Effects of Perceptual Grouping in the Brain Processing of Sounds -Kentaro Ono
- The Processing of Tonal Organization in Music -Rie Matsunaga
- The Audience Effect on Music Performances -Haruka Shoda
- A Kalman Filter Model for Adaptation to Delayed Auditory Feedback in Adults Who Stutter -Nobuhiko Asakura
No.48 齊藤 ゆか・森 和夫・西村 美東士(編著)『学びの見える化の理論と実際―教育イノベーションにむけて』勁草書房、2023年
第1章 なぜ、学びを見える化するのか
- 教育・学習を見える化する意義と役割
- 教育・学習における問題
- 能力の見える化から学びの見える化へ
第2章 学びの見える化の方法論
- 学力の見える化をめぐる問題
- 能力の見える化の方法としてのクドバス
- 職業能力の見える化がもたらすもの:必要能力の構造的理解
- 見える化プラットフォームの設定
第3章 企業における学びの見える化の実践
- 現場力を向上するシステムの構築
- トヨタ自動車(株)の技術・技能伝承活動
- 技術・技能伝承コンサルテーションのプロセス
- 看護管理者教育システムによる副看護師長育成
- 開発コンサルタントに必要な能力
第4章 行政・非営利組織における学びの見える化実践
- 海外技術協力プロジェクト・コンサルテーション
- 自治体における生涯学習・まちづくりの企画立案
- ボランティア・NPOの協働
- 体験活動の普及を図る民間団体の持続的な運営体制と課題
- 若者への理解と支援活動
第5章 学校における学びの見える化実践
- 国による高等教育の質の保証の動向
- 社会教育主事等の養成カリキュラムの開発
- 助産師教育の問題と実習教育の課題
- 中学・高校の社会科教育の「教え」と「学び」
- 保健体育科教員の養成プロセスと実習教育の課題
- 古典武術の暗黙知分析に基づく教材開発
第6章 学びの見える化の課題と展望
- 学びの見える化の課題:
学びの見える化を妨げる「能力論」の動向を中心に - 学びの見える化の課題から展望へ
No.47 鈴木 宏枝(著)『アフリカン・アメリカン児童文学を読む―子どもの本という「励まし」』青弓社、2022年
序 章 アフリカン・アメリカン児童文学と「励まし」
- 1 アフリカン・アメリカンとは誰か
- 2 アフリカン・アメリカン児童文学とは何か
- 3 「励まし」としてのアフリカン・アメリカン児童文学
- 4 本書の構成
第1章 アメリカのなかの他者
- 1 『アンクル・トムの小屋』にみる隷従
- 2 『アンクル・リーマスの話』にみるミンストレル・ショー
- 3 アメリカ児童文学の黒人
- 1 アフリカン・アメリカン児童文学の歩み
- 2 自伝や伝記の意義
第2章 アフリカン・アメリカン児童文学の輪郭
- 1 W・E・B・デュボイスの教育観とハーレム・ルネサンス
- 2 アメリカの子ども像の多様化に向けて
- 3 アフリカへの親近感――「中間航路」の逆走
第3章 「ブラウニーズ・ブック」の意義
- 1 人種隔離の手枷と人種差別の足枷――『とどろく雷よ、私の叫びをきけ』
- 2 われらの白人の兄弟――『ミシシッピの橋』
- 3 アメリカの夢に深く根差した夢――『土地』
第4章 「わたしには夢がある」への応答
- 1 墓石による防御――『偉大なるM・C』
- 2 虐待と病の受容――『マイゴーストアンクル』
- 3 神話の創造――『プリティ・パールのふしぎな冒険』
- 4 南部の鎮魂――『犂を打ち鳴らす』
第5章 歴史の受容
- 1 奴隷逃亡のネットワーク――『ハリエット・タブマン――地下鉄道の車掌』
- 2 ストリート・チルドレンの共同体――『ジュニア・ブラウンの惑星』
- 3 ハーレム地区の共助と新しい男らしさ――『ニューヨーク145番通り』
第6章 ネットワークの形成
- 1 アフリカの言葉に宿る力――「すべて神の子には翼がある」
- 2 複数の言葉から生まれる空間――『次女――ある奴隷少女の話』
- 3 詩作でつながる若者――『ブロンクス・マスカレード』
第7章 言葉の力
- おわりに――アフリカン・アメリカン児童文学というプラットフォーム:子どもを跳ばせる力
No.46 孫 安石・大里 浩秋(編著)『明治から昭和の中国人日本留学の諸相』東方書店、2022年
第Ⅰ部 明治期の留学開始の諸相
- 章宗祥編『日本遊学指南』を読む(孫安石)
- 清国留学生と『訳書彙編』の発行――創刊と財政、販売を中心に(郭夢垚)
- 寺尾亨の東斌学堂と留日学生(一九〇五~一九〇九)――『向巖家書』を中心資料として(王鼎)
- 正則英語学校と清末の中国人留学生――上海での教科書裁判の紹介を兼ねて(川尻文彦)
- 清末期蚕業留日学生と中国蚕糸業会(東京)(王怡然)
- 清末の旗人留日学生――『大同報』を中心に(阿部由美子)
第Ⅱ部 大正・昭和期の受け入れ側の諸相
- 日華学会の中国における活動――北京駐在員高橋君平の事例を中心に(陳珂琳)
- 同仁会による留日医薬留学生の支援(見城悌治)
- 東京帝国大学の中国人留学生関係文書を読む(大里浩秋)
- 東京工業大学と戦前の中国人留学生(佐藤由利子・村松晶子)
第Ⅲ部 日中戦争期と戦後の留学生の諸相
- 中国人の日本留学と「日本研究」――団体と雑誌を中心に(一九一五~一九三一)(高柳峻秀)
- 朱紹文研究員と戦時下の日本留学――一高特設高等科と東大経済学部を中心に(田島俊雄)
- モンゴル喇嘛僧の日本留学――真言宗と浄土宗を中心に(池田健雄)
- 中国留日同学会とその活動――『中国留日同学会 季刊』に見る(川島真)
- 中国留日同学総会の財務状況の考察――機関紙『中国留日学生報』の広告を中心に(荒川雪)
No.45 関口 博巨(著)『近世村落の領域と身分』吉川弘文館、2021年
- 序章 問題の所在と本書の構成
第一部 村の構造と「村」領域―ムラの仕切り
- 第一章 関東の「村」と百姓土地所持―武州志多見村を中心に―
- 第二章 関東の「村」と村運営
- 補論 賤民の「村」と弾左衛門支配―境界の住人たち―
- 第三章 土地慣行にみる「ムラの自力」―近代への展望―
第二部 百姓と従属民―身分の仕切り
- 第一章 奥能登における「下人」化の諸契機 ―近世前期の時国家を中心に―
- 第二章 奥能登における「下人」の職能と生活―時国家の「下人」たち―
- 第三章 甲州山村の家抱とその「自立」―西河内領福士村の事例から―
第三部 身分社会の越境者―仕切りの透過性
- 第一章 ムラと越境者の近世史・素描 ―豆州伊東の湊・峠・温泉―
- 補論 寛政三年の陰陽道騒動―豆州伊東の温泉―
- 第二章 屋敷墓・持仏堂・道心者―武州志多見村松村家の地蔵堂を中心に―
- 第三章 江戸地廻り経済の展開と近江商人―武州平沼村河岸―
- 終章 本書の総括と展望
No.44 熊谷 謙介(編著)『男性性を可視化する〈男らしさ〉の表象分析』青弓社、2020年
- 序文
マスキュリニティ、二十世紀、表象熊谷謙介 - 第1章
表現主義のマチズモとアウトサイダー性西岡あかね - 第2章
新しい男の誕生?――ダダにおける「新しい人間」のマスキュリニティ小松原由理 - 第3章
洪深のアメリカ留学体験――自伝における人種差別・恋愛、そして演じること中村みどり - 第4章
男らしくない西部劇小説『シェーン』――冷戦期アメリカの核/家族古屋耕平 - 第5章
「人間らしさ」への道、「男らしさ」への道――ラルフ・エリソン『見えない人間』山口ヨシ子 - 第6章
母、マジョリティ、減退する性――ロマン・ガリと男性性熊谷謙介 - 第7章
飛ばなかった王子――マシュー・ボーン版『白鳥の湖』にみる男性性と現代社会菅沼勝彦 - 第8章
現代美術にみる狩猟と男性性――おとぎ話文化研究の視点から村井まや子
No.43 上原 雅文(編著)『自然・人間・神々―時代と地域の交差する場』御茶の水書房、2019年
第I部 世界史の中の神々と自然
- 第一章 世界史の中の神話と宗教
―ヘーゲル「世界史の哲学」初回講義を素材として伊坂青司 - 第二章 日本の自然観の変遷
―神信仰と外来思想との関係をめぐって上原雅文
第Ⅱ部 自然と女性
- 第三章 異類・女性・変身
―アンジェラ・カーターとアナ・マリア・パチェコの作品にみる民話的変身のモティーフ村井まや子 - 第四章 ヴィーナスの運命 一八七〇~二〇一三年
―マゾッホからポランスキーまで鳥越輝昭
第Ⅲ部 聖なるものの場所
- 第五章 ウェールズにおける聖なる泉への巡礼
―中世から近世の聖ウィニフリッドの泉山本信太郎 - 第六章 鯨塚から考える日本人の自然観と倫理坪井雅史
第Ⅳ部 自然と環境
- 第七章 イスラームはエコ・フレンドリーか
―オマーンの学校教科書および説教集にみる環境言説大川真由子 - 第八章 風水と自然観―中国江西省贛南地区の村落調査から小熊誠
No.42 孫 安石・大里 浩秋 (編著)『中国人留学生と「国家」・「愛国」・「近代」』東方書店、2019年
第Ⅰ部 中国人留学生と「国家」の発見
- 清国留学生会館研究初探
―「国家」と「愛国」のはざまSON Ansuk(孫安石) - 清末中国人日本留学生の初期活動について
―励志会と訳書彙編社を中心に郭夢垚 - 中国人留学生の日記から読み取る日常生活
―下宿屋という都市空間を中心に欒殿武
第Ⅱ部 中国人留学生と文学―「愛国」を求めて
- 余計者としての留日学生
―張資平「一班冗員的生活」を中心に林麗婷 - 留学と愛国、そして詩
―聞一多と鄭伯奇・穆木天鄧捷 - 中国人留学生が語る「日本」
―郁達夫「帰航」とイギリス排日小説『キモノ』(Kimono)中村みどり - 中華学芸社とその機関誌『学芸』について潘吉玲
第Ⅲ部 戦争と混乱の狭間でみた「近代」
- 「満州国留日学生会」の諸活動とその実相見城悌治
- 「対支文化事業」における「特別講習会」
―東京帝国大学農学部の事例を中心に三村達也 - 一九五〇年代半ばの中国留日学生と日本国費留学制度再開川島真
- 一九五〇、六〇年代の中国留日同学会と華僑社会
―陳学全さんに聞く大里浩秋
No.41 深沢 徹(著)『新・新猿楽記―古代都市平安京の都市表象史』現代思潮新社、2018年
白兎のとびはね
- 第一章
都市へのまなざし(一)
―古代都市の生成 - 第二章
中心は空虚である。
―欲望喚起装置としての「内裏」と、古代都市平安京の消長 - 第三章
都市へのまなざし(二)
―『池亭記』異論 - 第四章
うつろの楼閣、六条院
―慶滋保胤『池亭記』の影を、そこに見てとる
黒猿のうそぶき
- 第五章
都市へのまなざし(三)―『新猿楽記』謬見 - 第六章
一〇〇〇年紀の社会学者
―藤原明衡筆『新猿楽記』における芸能の位置
金狐のあやかし
- 第七章
都市へのまなざし(四)
―ラカンで読む『方丈記』 - 第八章
いちじるき主体構築
―『愚管抄』にみる、「カタカナ表記」のパフォーマティビティ
赤駒のかけり
- 終章
星の降る街
―〈知〉の越境、もしくはメディアとしての「未来記」 - あとがきに代えて
主要人名索引